|
AN/PRT-4は、ベトナム戦争時代にアメリカ軍で採用された、送信専用の超小型(当時)分隊内通信用無線機です。 これまで紹介してきた機種の多くは「送受信機(RT: Receiver-Transmitter)」でしたが、本機は「送信機(T: Transmitter)」単体として設計されているのが最大の特徴です。 主な特徴とスペック 用途: 分隊長から部下への一方的な命令伝達。 ペアでの運用: 受信専用のAN/PRR-9(ヘルメット装着型)と組み合わせて使用され、システム全体で「AN/PRC-52」と呼ばれます。 周波数範囲: 47.0 〜 57.0 MHz(VHF-Low)。 2チャンネルのクリスタル(水晶発振子)を切り替えて使用します。 通信モード: FM。 出力: 約450mW(短距離用)。 ボタン構成: ボタン1:音声送信。 ボタン2:150Hzのトーン信号(警告用)を送信。 なぜ「送信専用」だったのか? 軽量化: 当時の技術では、送受信両方の機能をハンディサイズに収めるのが難しかったため、役割を分担させました。 戦術的理由: 「部下は上官の命令を聞くだけで十分(余計な返信で電波を出し、位置を特定されるのを防ぐ)」という思想に基づいています。 運用上の立ち位置 通称: その形状から「ハンディ・トーキー」と呼ばれました。 限界: 通信距離が非常に短く(数百メートル程度)、クリスタルによる周波数固定式だったため、柔軟性に欠けていました。 その後: 後のAN/PRC-68やAN/PRC-126といった「送受信が1台で可能なハンディ無線機」の登場によって姿を消しました。 |
| AN/PRR-9は、1960年代(ベトナム戦争期)にアメリカ軍が導入した、世界初に近いヘルメット装着型・受信専用無線機です。 先ほどの送信機 AN/PRT-4 とセットで運用され、分隊長からの命令を部下が「聞く」ための専用機として開発されました。 主な特徴とスペック 用途: 分隊員が両手を空けたまま、分隊長(AN/PRT-4所持者)からの指示を受信すること。 装着方法: M1ヘルメットの縁にクリップで固定して使用します。 周波数範囲: 47.0 〜 57.0 MHz(VHF-Low)。 内部のクリスタル(水晶発振子)を交換することで、特定の1波を受信します。 通信モード: FM。 電源: 特殊なボタン電池(BA-505/Uなど)を使用。 スピーカー: 耳のすぐ近くに配置される小型スピーカーから音が出ます。 運用上のメリットと欠点 メリット: ハンズフリー: 銃を構えたまま指示を聞けるため、戦闘中の即応性が高まりました。 軽量: 受信機能に絞ったため、当時の技術でもヘルメットに付けられるほど小型・軽量でした。 デメリット: 一方通行: 受信専用なので「了解した」と返事(送信)をすることができません。返答が必要な場合は、手信号や直接声を出す必要がありました。 互換性の低さ: 周波数がクリスタル固定式のため、現場で柔軟にチャンネルを変えることが困難でした。 歴史的意義 この「PRT-4(送信)とPRR-9(受信)」のペアは、現代の特殊部隊が使用するヘッドセット一体型無線機や、一般兵士用の個人用無線機(PRR: Personal Role Radio)の遠い先祖にあたります。 「命令は聞くだけでいい」という極端な設計思想は、後のAN/PRC-68(送受信一体型)の登場によって、より双方向なコミュニケーションへと進化していきました。 |
|
今日、PRR9用バッテリーをばらしてみました。 中身は単五乾電池を4本直列にしたものでした。 大昔に買った、単五電池も出てきましたが多分容量ゼロだと思います。 かりに容量があっても作る気はありませんが・・・(笑) |
| [Back] |